阿部峻介
生後1カ月の長女を大阪市内の自宅マンションで揺さぶって頭部に大けがを負わせたとして、傷害罪に問われた母親(40)の上告審で、最高裁第三小法廷(林道晴裁判長)は検察側の上告を退けた。逆転無罪とした二審・大阪高裁判決が確定する。6月30日付の決定で、詳しい判断理由は示していない。
決定受け母親「ほっとしています」
母親は2014年12月、自宅で長女を揺さぶり意識障害を伴うけがを負わせたとして逮捕・起訴された。乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)の兆候の一つである急性硬膜下血腫が複数あったとして、検察は揺さぶりを主張。弁護側は、けがは当時2歳6カ月の長男がテーブルから引きずり落とした際などに生じた可能性があると反論した。
一審・大阪地裁は「成人が激しく揺さぶって脳に回転性の外力を加えたことがうかがえる」と判断し有罪とした。だが高裁は、脳神経外科医の新証言などから硬膜下血腫の一部はもともとあったと認定し、けがは「引きずり落とし」でも生じるとして無罪とした。
SBSがあったと推定する場合①急性硬膜下血腫②眼底出血③脳浮腫――の三つの兆候の有無が重要とされるが、近年はこの手法の正当性に論争があり、無罪判決が各地で相次いでいる。
最高裁の決定を受け、母親は「ほっとしています。本当に長い7年間でした」とコメントした。最高検の畝本直美公判部長は「主張が認められなかったことは誠に遺憾だが、最高裁の判断なので真摯(しんし)に受け止めたい」との談話を出した。(阿部峻介)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル